【検索脳を改善させれば記憶力がアップする?!】〜ネット検索&スクショ禁止のススメ〜
以前勤めていた職場の上司に、先日こんな話を聞いた。
今の新人教育はとても時間がかかる。
本来、4〜5日の現場トレーニングのところ倍の9日かかる子も少なくない、と。
別に反抗的なワケではない。むしろ、とてもマジメで良い人ばかり。
ではなぜ、そんなに時間がかかってしまうのか?
一つの理由として、私がいた10年前と違い、今はトレーニング完了の基準が厳しくなっているという事。自動車運転の教習所のように単位を一つでも落としていると現場デビューできない仕組みになっているのだ。
しかしOJTの中で、教育者がもどかしく感じる場面が多いとも言う。
トレーニング完了の確認テストで、覚えた内容が出てこない。
メモを書いたはずがどこに書いたか忘れている。
ヒントを出しても、自分で考えて答えを導き出すことができない。
その話を聞いて、自分の経験とも照らし合わせてこう思った。
現代の若者の“記憶する力”が低くなっているのではないか?
“記憶する力”が低くなっていると考える原因は2つ。
①携帯電話の電話帳機能
②インターネットの検索機能
固定電話の時代は電話一本かけるのでも、電話番号を繰り返し唱えながら、覚えながらかけたものだ。だが今はその必要がないので一時的な記憶(短期記憶)に留める練習を日常的に全くやっていない思う。
さらに、ネットがない時代は「あの映画の外人の俳優さんの名前なんだっけ?!」と一晩悶絶することもしばしばだった…。しかし今は、思い出せずに悶え苦しむこともなく、また一歩も動くことなく検索で答えを得ることができるので、自分の記憶力の乏しさに落ち込むようなことはあまりなくなったと思う。
つまり、“記憶の本棚”をまったく使わずに生活できるのだから、記憶する力が退化するのは当たり前だ。
では、
“記憶する力”をアップさせるにはどうしたら良いか。
①「たくさんの人に触れさせる。」
今さら、固定電話を復活させろという話しではないが、SNSなどのコミュニケーションは言わば “閲覧”。対面のコミュニケーションに比べて、相手の心情を汲み取るには情報量が少なすぎる。訓練をされた大人でも難しいのに、子ども、新人の時からSNSのみのコミュニケーションで経験値を積めるはずがない。
だから、
■ 子育てでは、親がわずらわしいと感じる親戚付き合いや近所付き合いを減らさないよう努力する。子どもに買い物をさせる。習い事の確認など自分でできることは自分でやらせる。
■ 会社の新人教育では、社内でなるべく多くの関係者に紹介し、たくさんの方に顔を覚えてもらうように担当者が下準備をする。
そうする事でたくさんの人との出会いが生まれ、その中で様々な情報を分類したり、長期記憶に移行させたりして“記憶の本棚”の活用スキルがアップする。
②もう一つ大事なこと。「ネット検索&スクショ禁止」で自分の頭を使わせる!
あらゆる事象に対して「どうしてこうなったんだろう?」、「どうしたらいいんだろう?」と自分で考えさせるために、一定の時間は「ネット検索禁止」にする。
そして、出た答えや調べた結果はすぐにスクショ(スクリーンショット/モニター写真)やメモにしないで、自分の頭で一度復唱し、記憶したものをメモにするという順番を意識させる。
ex.調べたラーメン屋さんの住所も一度頭で記憶し、覚えたものをメモに残す。
そうしていくと、インターネットを使っても単なる情報の横流しではなく、自分自身の知識や自信となって本当の成長となるのだ。つまり、人間関係の中で経験値を上げる環境を作る事が、親や教育担当の本当の役目ではないかと思う。